あじ記

旅に出ようや

ぶつ切り東海道行脚第1日 日本橋~川崎編

 あじです。

 

 山形の旅で歩く楽しさに目覚めた私は長距離歩行をするべく、「五街道のどれかを自分の足で踏破してみたい」と思うようになりました。海沿いであれば、山越えが多いであろう中山道よりも歩きやすいだろうということで、東海道を選択。旧東海道をできるだけなぞりながら東海道五十三次を巡ろうとだけ決めていました。

 

 一人で開始しようとしていましたが、この(無)計画について話をしていたところ、同調する阿呆者がなぜか2人も現れました。

 起点は勿論日本橋。ここから、第1の宿場町である品川宿に向けて歩み始めます。山手線とほぼ平行に歩いていくわけですが、百貨店が立ち並ぶ日本橋から、より現代的にギラギラしている銀座、呑み屋が所狭しと並ぶ新橋と、大都会の中にも特色の変化がみられて面白い。

 日本橋を出発してから2時間ほど歩くと品川宿へ到着です。朝から曇天でしたが雲行きが怪しい。

 ここからは山手線をはずれて京急線沿いに南下し、蒲田方面へ。大都会の中にも点々と、史跡が残されているのは旧街道ならではなのでしょうか。

 その後は中型スーパー、マンション、車屋、飲食チェーン店といった、ザ・国道沿いとも言うべき生活感あふれるエリアを抜け、差し掛かったのは六郷橋。越えれば神奈川県川崎市に入り、第二の宿場町である、川崎宿ももう近くです。

 ろくに運動をしない出不精の私にとって、歩いて県境を渡る感動はひとしおです。多摩川に沈む夕日もまた、旅情を感じさせてくれるものでした。

 県をまたいできたのだなぁ。町を挙げて旧東海道を推してくれるのだなぁと感心していました。

 

 軽く夕食を済ませたら、5時間ほどかけて歩いた道を戻るため、電車に乗ること20分足らず。かくして第1日目は終了です。この日の歩行距離はおよそ20kmほど。普段動かなくてもこの距離を歩けることに少し驚きながら、同時に交通手段の偉大さに気づくのでした。

 

~反省会~

〇良かった点

・予定通り、3人とも川崎まで怪我無く(多分)歩ききれた

〇良くなかった点

・ブーツに手提げかばんと、長距離を歩く格好ではなかった(ふくらはぎがやられた)

 

 街道を歩くということで、道中すべてが観光スポットというわけではありません。また寄り道する体力、時間の余裕もないので、文字に起こしてしまうとかなりスカスカになってしまいましたが、以前までの旅とは全く異なる愛憎入り混じった感情が芽生えることになりました。

 川崎まで着いたときのそれは、山頂まで登り切った時の達成感に似ていたのかもしれません。写真や文章で伝えるのは難しいので、みんなも歩いて。私も歩いたんだからさ。

 

第2日目(川崎~戸塚編)に続く……

初めての深夜バス 山形編

〇村のぉ サイコロの旅ぃ

 

あじです。

前回の旅で完全にひとり旅に目覚めてしまった私は、東北方面で旅をしたいと思っていました。ただ繰り返すのも面白くないということで、何らかの新要素を加えていきたいと考えていたところ…

以前から深夜バスにおみまいされる様を某番組で目にし、若いうちに一度経験せねばと思い、せっかくならと東北6県にサイコロの目を振り分けて旅に出ることにしました。行先に決定したのは山形県こけしと牛とさくらんぼのところですよね?(無知)

 

2021年10月。

軽く山形のリサーチをしていたところ丸池様という、透き通って綺麗な池があるらしいことを知り、そこを目的地として旅程を組み始めました。観光する場所というのは調べすぎると期待が先行しすぎて拍子抜けしてしまうことが多々あるので、これ以上のリサーチはやめておきましょう。

 

はやりものヤバい宣言も明け、今回の旅の起点は上野駅常磐線沿線民なので(過去形)、とても交通の便がよいです。

今回のメイン、丸池様は山形県でも日本海側で、秋田県境に近いところなので、酒田方面のバスを選択。

 

バスは3列独立シートで、座席の周囲はカーテンで覆われていて真っ暗なので、ので思った以上に他人を感じない作りになっていました。電車で爆睡できる人なので、バスで寝ることも全く問題ありませんでした。

しかし、物を小分けにするためのかばんを持ってきていなかったのが失敗でした(財布は手元に持っておきたいので)。足元にリュックを置いていたせいで尾てい骨や腰、膝をおみまいされて目が覚めてしまうことに。深夜バスに乗るときは、手提げかばんを持っていきましょう。

 

~翌日~

朝5:50に余目(あまるめ)に到着。明け方ということもありとても寒いです。薄手のパーカーで来たのが間違いでした。駅の待合室内は暖房がきいていて助かる助かる。前日は雨が降っていたようですが、晴れ男が来ればまあこうなりますよね。

 

陸羽西線で向かったのは高屋駅幻想の森という、樹齢千年を超えるといわれる杉の原生林があり、CM撮影の現場にもなったようです。ここが最寄り駅ではあるのですが、車かタクシーで行くのが主流みたいです。この時期はバスツアーをやっているシーズンでもあったみたいですが、朝6時半にバスツアーをやっているはずもなく。歩けない距離ではなさそうなので(4kmくらい)、歩きましょう。

爆速で横を通過するトラックにビビるなどしながら、国道沿いを歩くと幻想の森(山)の入り口を見つけました。電車の時間を最優先したのでコンビニを探す暇もなく、高屋駅周辺には食べ物を買えそうなところがなかったので、朝食抜きで山道を登ることに。今冷静に考えると、野垂れ死ぬ危険もありましたね。早朝と旅のテンションでおかしくなっていたようです。皆さんはこういうことをしないようにしましょう。

40分ほど林道を進み、山道を進むと幻想の森に着きました。幹は、大きいもので一周5,6mくらいあったでしょうか。早朝の山の中なので人っ子一人おらず、風に揺れる木々の音と自分の足音しか聞こえない、とても静かな空間でした。

 

しばらく森林浴(?)をしてから駅へ戻ることに。ここであることに気づきます。

歩いて戻っては電車に間に合わない。電車を逃すと次は二時間後らしく、飲み物も尽きた今、コンビニもない駅前で待てる自信もなかったので約3kmの林道を走って戻りました(あぶない)。

ギリギリ間に合った私は朝食(魔剤)にありつき、次の目的地へ。

吹浦駅から東へ歩くと、田園風景の中に突如鮭孵化場が姿を現します。

ここを目印に奥に進むと、今回は季節外れでしたが梅花藻が見られる川があります。

その川をさかのぼるようにして進み、林に足を踏み入れると、

いきなりこの光景です。唐突に現れた光景にあっけにとられ、しばらく立ち尽くしていました。前回の旅でもきれいだと思う光景は多々ありましたが、思考が止まり、何も感想が出てこないのは後にも先にもこの時だけでした。

地元の食堂のラーメンで昼食を済ませ、真昼の海でしばらく黄昏れた後、宿の最寄り駅からバスを使わず、徒歩で向かうことに。旧加茂隧道という、昔のトンネルをグーグルマップで見つけていたので通ってみようと思ったわけです。

ええ。

では宿に、チェックインが遅れそうな旨を伝えてから来た道(約2km)を戻りましょう。

途中で心が折れてバスを利用し着いた湯野浜温泉は…

砂浜のすぐそばに温泉があります。逆光でわかりづらいですが、真っ白で粒の細かい砂でした。

 

宿では前回同様、酒と温泉にいいようにやられ、帰路につくのでした。

丸池様はこれまでの二十余年の人生の中で最も印象に残った情景の一つでした。

 

また今回の旅で歩く楽しさに目覚めた私は、とある長距離歩行計画を立て始める……

初めてのひとり旅 北陸編

あじです。

昨年ひとり旅を始め、回を重ねるごとに薄れる記憶に焦りを感じ、ブログを書こうと思い立ちました。

 

2021年7月。

仕事のストレスと、帰宅しようが否が応でも仕事のことを思い出す社員寮という環境、繁忙期を乗り越えた後の空虚感、日帰りで温泉に行っては寮に戻されるフラストレーション。これらを紛らわすべく、旅漫画をいくつか読んでしまおうものなら我慢できるはずもなく鬱憤が爆発。

はやりものヤバいけど、ひとりで行けば大丈夫やろ

と、酒の勢いで宿をとってしまいました。

 

首都圏から気軽に行けて、尚且つ遠方っぽい(雑)ところとして、北陸をピックアップ。

ホタルイカのシーズンは終わったし、北陸に初夏の魚のイメージもない(太平洋側の

イメージ)。なんか温泉がいっぱいあるらしいし、米どころで雪解け水もあるから酒も美味いだろうということで新潟へ。糸魚川にジオスポットあるし、行ってみるかということで決定した気がします

 

金曜日の健康診断の後休暇を取り、新幹線に飛び乗り向かったのは糸魚川・・・

ではなく長野でした。糸魚川で狙っている宿は新幹線駅から遠く、ばたばたしそうだと思ったからですね。ちょっと市内を観光しつつ、明日に備えましょう。

 

長野駅を出てみると、善行寺が徒歩圏内という表示があるではありませんか。チェックインまで1時間半くらいあるので行ってみましょう。

 

と思ったら、仲見世通りも含めて営業時間が終了していました(16時半くらい)。残念。

門の下には絵馬がかけられており、風に揺れてとても心地よい音が響いていました。

今度はもっと早い時間に訪れたいですね。

 

濃いなぁ…(語彙力)

そういえば長野って冬季オリンピックあったんですよねぇ…

などと町のあらゆるものにゆるくツッコみ、居酒屋を素面で後にして今日のお宿へ。

ビジネスホテルは大体どこへ行っても、レイアウトも置いてあるものも似ているので安心感がありますねぇ。

 

~翌日~

雨の予報もなんのその。私は晴れ男かもしれません。

優雅にローカル線で糸魚川へ向かおうとしたら、フォッサマグナパークへ行く時間が無くなりそうなので(無計画)またもや新幹線に乗ることに。

 

トンネルを超えれば米どころの様相を如何なく見せつけてきます。湖と山と田んぼと平〇堂で形容される我が故郷を髣髴させる光景です。落ち着く。

40分ほど新幹線に乗り、糸魚川駅に到着。とても静かで旅情を誘う駅前通りでしたが、はやりものが収まればにぎやかになるんでしょうかねぇ。

北は山、南は海というイメージが出来上がっている太平洋側の人間にとって、出口が日本海(北口)とアルプス口(南口)という名前なのが印象的でした。

 

今回の旅のメイン、フォッサマグナパークへは糸魚川駅から大糸線に乗り換えて根知駅へ。1両編成のディーゼルカーに揺られ、車窓から見える夏空と山、田んぼのコントラストがノスタルジーを掻き立てます。

駅を出てしばらく歩くと、フォッサマグナパークに着きます。到着早々、断層がお出迎え。

(北アメリカプレート)西(ユーラシアプレート)でくっきりと色が分かれているのも、無学な観光客にわかりやすくてとても良いです。フォッサマグナ糸魚川-静岡構造線というわけではなくフォッサマグナはバカでかい溝のことで構造線はその西端のラインらしいです。あんまり掘り下げると詳しい人に怒られそうなのでこのあたりでやめます。

本来であれば下に降りてもっと近づけたらしいのですが…。崩落の跡があるらしく、残念。上の写真の左側部分がそのあとですかね?草生えてるし違うか。

崩落した影響なのか、水路の修繕工事をされていました。写真撮るときは工事のおっちゃんたちが気を利かせてよけてくれました。ありがとうありがとう(以下略)

夏の野外の工事って、今の熱源機械室工事の比ではないくらい暑そうですよね…。夏の機械室って、外から供給される熱風と機械から発せられる熱で酷いことになるんですけど、直射日光の熱には到底及ばなさそうな感じがします(設備機械屋並の感想)。

 

閑話休題

まだ道が続いているので歩を進めてみましょう。

枕状溶岩というらしいです。石垣みたいですねぇ(雑)。ゴンズイ玉みたいな形で溶岩が伸び、固まった後風化してこの形になるんだとか。

修学旅行の事前学習は、ネタバレの海という認識しかしていなかったので嫌いだったんですが、知らなすぎると感動が無くなってしまうんだなぁと思いました。

 

暑い。

というわけで再び根知駅へ。電車まで一時間ありますが、ゆっくり待ちましょう。

年季の入ったローカル線の駅舎は、ベンチなり柱なりに木が使われていることも多く落ち着きますね。最寄り駅が古くてもエモくはないので(経験談)、この感覚は初めて訪れる者の特権でしょう。

 

さて、電車で糸魚川駅へ戻り、昼食を済ませてからバスでフォッサマグナミュージアムへ。糸魚川を流れる姫川でよくとれる翡翠について、できるまでのメカニズムを解説しているだけでなく、世界中で取れた鉱物・宝石が数多く展示されており、とても見ごたえがありました。私は美術館や博物館へ行くと写真撮影を忘れるので写真はありません。実際に行ってみてみよう!

 

再び糸魚川駅に戻り、能生(のう)駅まで移動し、バスで宿へと向かおうとしました。駅から乗るべきバスの系統は事前に調べており、駅前のバス停が終点でない(=逆方向のバスに乗る可能性がある)こともわかっていました。が、「山が北側、海が南側」という固定観念が抜けず、乗るべきバスを目の前で真・スルー

1時間後にしかバスは来ないと知った私は、とりあえず海へ向かうことにしました。

些細なガバは海が洗い流してくれますとも。

 

1時間後、ほぼ貸し切り状態のバスに乗った私は、柵口(ませぐち)温泉へと向かいました。

アーイイ…。とてもとてものどかで、非常に良い。

旅に出たいという衝動は、都会の喧騒から逃れたかったというのが一番大きいということを自覚したのもこのあたりでした。

 

本日のお宿はこちら。畳の香りも含めてとても落ち着きます。宿に着いたら、

温泉>晩餐>温泉>温泉>睡眠>温泉>朝食>温泉

のコンボを決めようと思っていたのですが、バスガバで最初の入浴の機会を逃してしまったわけですね。長風呂ができない体質なので、何回も入ることで取り返していきたいというやつです。どうしたら長風呂できるんでしょうね?

 

夕食(の前菜)です。一人でこういった食事をするのは初めてだったので、緊張も相まって酒が進む進む。下戸なので1合飲み切れず、持ち帰ることになりました。帆立の釜飯と牛肉の汐煮が特に美味しかったです。

 

ただの土日に行ったからなのか人は多くはなく、風呂はほぼ貸し切り状態でこの上ない開放感がありました。

 

~翌日~

無事、風呂>朝食>風呂のコンボを決め、滞りなくチェックアウトを済ませたらバスで再び能生駅へ。

日曜日の朝なので帰るにはまだ早い、ということで東京へは戻らず、富山へ向かいます。

時間がないので、生地や魚津、滑川の海鮮を堪能したい気持ちをグッと抑え、富山駅へ到着。富山市内って路面電車が走っているんですね。せっかくなので乗ってみました。車内は電車そのものなのに車窓は車道のど真ん中という、なんだか新鮮な感じ。富山城を過ぎたあたりで…

図書館とガラス美術館が同じ建物に入っているというので入ってみました。

木目調で吹き抜けの建物でとてもお洒落な感じがします。入場料が200円の割に、展示はとても充実していたと思います。写真は撮っていないので見に行ってください。

昔仙台に行ったときに藤田喬平ガラス美術館へ行き、ガラス細工の鮮やかさと透明感、見た角度で印象が変わってくる姿が妙に印象に残っていたので足を運んでみたのですが、ハマってしまった感じがします。箱根の彫刻の森美術館にも、首都圏に住んでいるうちに行っておきたいですね(間に合わなかった模様)。美術館行くならある程度の知識はつけていった方がやっぱり面白いんでしょうかね?

 

お土産に買ったお猪口は今も愛用しています。

 

 

今回は初めてのひとり旅でしたが、帰りの道中に次の行先を考え始めるくらいに楽しんだものでした。「酒と温泉と、ついでに観光」という目的で始めた旅でしたが、酒にも温泉にも弱いことを改めて実感しました。

ひとり旅というのは、社会的な人は寂しくてやっていられないらしいのですが、特に寂しくなかった私は非社会的な人間の一人なのだと改めて感じました。日常では社会性を強要される分、こういった機会に非社会性を存分に発揮するのもよいかもしれません。

リアルタイムで感想を共有できる人がいない分、身の周りの物やそれを知覚する自分の五感に思いを巡らせることになるので、新たな発見ができたように思います。

ひとり旅は、いいぞ。

 

次回、10月の山形旅もしくは今度行く(かもしれない)旅について書くかもしれません。